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笹倉及介の日記ブログ

ドーナッツの中心にある何か

 ドーナッツという物体がある。まあ、誰でも知っているお菓子だ。
 ドーナッツは中心に穴が開いている。もしドーナッツの中心に穴が開いていなかったとしたら、あそこまで皆に好かれるお菓子ではなかっただろうし、ミスタードーナッツだってとっくに潰れているだろう。つまり、あの穴のおかげで皆に好かれている。あの穴の中には皆に好かれる「何か」が入っているのだ。
 穴は開けないほうが食べる量が多くなって得だと思うが、穴は開いている。開いていなかったらただの揚げパンだ。量を犠牲にして、食べられないが重要な「何か」を入れた。それがドーナッツである。だから好かれているのだ。揚げパンと、同じ大きさのドーナッツがあったら僕は迷わずドーナッツを選ぶ。
 あの穴に入っているものこそ僕が求めてやまない、形にできない何かプライスレスなもので、愛とか、希望とか、そういうものだ。食べられない。
 僕は、穴の中に入っているものが何かを確かめるべく、穴を覗き込んだ。