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笹倉及介の日記ブログ

「四畳半神話大系」読了

 森見登美彦氏は天才ではなかろうか。この本に出てくる登場人物や舞台装置、ギミックなどは他の作品とまったく変わらないのだけれど、何でだか飽きないし、おもしろい。いつものとってもくだらないことを、ものすごく文学的にして高尚に表現したような文体が面白くてニヤニヤしてしまう。
 この本の主人公のような、自分の過去を後悔しつつ、まったく反省しようとしないというか、自分の欠点を決して認めようとせず、「自分が悪いのではなく世間が悪いのだ」と少しの迷いも無く自信を持ってきっぱり言ってしまうような人間は、見ていてとても痛快で、自分が救われる感じがする。僕自身は、自分は間違っていないだろうか?大丈夫だろうか?と常に自信が無く、おっかなびっくり世間を歩いているようなものだから、こういう小説は心の栄養になるのだ。
 それにしても面白いなぁ、森見登美彦の小説は。とりあえず、この記事を読んでくれた人は、本屋で一ページ目だけでも読んで欲しい。僕はその一ページ目で惚れたのだ。この人の本は全てそうだ。一ページ目で恋をするような作家だ。

四畳半神話大系

四畳半神話大系