hakanashika

笹倉及介の日記ブログ

最初の人

 授業で、「この植物にはこのような物質が含まれていて、それがこのような症状に効くのだよ」と教わった。それはそのとおりなのだろう。しかし、それをどうやって発見したのか。まさか、「あ、この植物を飲むとこの症状に効くに違いない!」と唐突に思って飲んでみたわけでもあるまい。誰がそういうことを発見したのか。「最初の人」の発想がわからない。漢方などはまさに、「経験的に、伝統的にこの植物はこのような症状に効く」というやつで、その「経験」の一番最初の人は何をもってそんな植物を飲んでみようという気になったのだろう。
 ものの名前なども同じことが言える。例えば、「カブトムシ」の語源は「兜+虫」だろうけれど、じゃあ、「兜」の語源は?「虫」の語源は?と、どんどん追求していくと、どうしてもたどり着けない源の言葉が出てくると思うのだけれど、それはどのようにして決まったのか。最初に虫のことを虫と呼び始めた人たちは何を考えていたのだろう。その発想がわからない。
 一人の人間にはわからないようなゆっくりとした変化の中でそのようなことが少しずつ決められた、ということなのかな。今この瞬間にも「最初の経験」や、「最初の言葉」も生まれているかもしれない。それが定着するまでに人間の一生よりも長い時間がかかるとしたら、誰もその瞬間が認識できないということになる。