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笹倉及介の日記ブログ

クレィドゥ・ザ・スカイ

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

「変化をしないものというのは、つまりは、どんどん新しくなっているものなの。あなた方がそうだわ。それは、別の表現をすれば、ある種の成長と同じ意味を持っている。生物学的には、とても興味深い。ただそうなると、そもそもどうして、その状態を維持するように生命は作られていないのか、そちらの方が問題なの。まだ、わかっていない暗い領域だわ。これまでに確かなことは、死んで生まれ変わらないと、生物は進化できない。ずっと生きていたら、種としては死滅するでしょう。だからおそらく、死ぬ機能を持っていたものだけが、地球上に生き残った、とも言えるわけ」

「肉体的な変化がなくなると、同じルーチンに対して、無意識に処理をしようとする。躰の動きが合理化されていく、といっても良いわね。だから、処理経路が短絡して、記憶に残らない。考えずに動いているから、情報を覚えない。さらに、記憶の出し入れのルーチンがパスされて、ものごとを抽象的にしか捉えなくなる傾向が強くなる。たとえば、固有名詞を忘れてしまって、概念だけでものを考えるようになる」

このシリーズはキルドレという歳を取らない少年たちが主人公である。上記文章は、このシリーズ全体を表すテーマになっているような気がした。
読み終わった後、もう一回スカイ・クロラから読み直さなければならないと思った。これはそういう小説だ。