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笹倉及介の日記ブログ

井戸の中はわりと快適だけど

『井の中の蛙、大海を知らず』
最初は誰もが井戸の中にいるとする。そうすると、もしかして井戸はボトル状なのではないかと最近思うようになってきた。
井戸の中は居心地が良くて、それなりに快適だしわりと広々としているけれど、井戸の外に出ようとするとだんだん幅が狭くなってくる。ボトルネックだ。出ようと思ったら、狭苦しいところを通らなければならない。だから広い広い海を知ろうとすると、だんだん難しくなってくる。そこを何とかがんばって、一回でも出てしまったら、途端に楽になり外に出られる。逆にもう井戸には戻りにくい。
たとえば、ある分野について勉強しようとする。勉強しようと思うのは自由だし、手をつけないうちはとても簡単そうである。まだ井戸は広い。勉強に少しでも手を付けると、だんだん井戸の上の方に上っていくことになる。最初は簡単なところから始めるので上るのは楽だ。だんだんと面倒になったりわからなくなったりして、井戸が狭くなっていく。狭いのを我慢して、毎日がんばって、何年もこつこつと勉強すると、少しずつ井戸を上っていくことになる。狭すぎて時には自分を細長くしたり、柔らかくしたりと変えなければならないときもあるかもしれないけれど、あるとき急に明るくなって、井戸を出ることができる。無限に広い平野が見えて、海もその向こうに見える。ちょっと高い山なんかもあったりして、もう少しがんばって上らなければならない場所もあるけれど、狭い穴を垂直に上っていた頃よりは断然楽だ。でも井戸の底の方はもう一部分しか見えず、初心を忘れてしまう。
勉強以外にも、趣味でも仕事でも、何だってそんなことは言えるのではないかな。