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笹倉及介の日記ブログ

導きの星

導きの星〈1〉目覚めの大地 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
導きの星〈2〉争いの地平 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
導きの星〈4〉出会いの銀河 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)
4冊もあるという大長編、大河小説でした。科学史を勉強したくなった。
とっても面白かったです。
主人公の司とパーパソイドと呼ばれる人間と変わらないロボットの三人娘が、発展途上の知的生命体のいる惑星を監視し、文明を発展させる手助けをするというストーリーです。
惑星オセアノという星にいるかわいいリスに似たスワリスという生き物を何百年単位で見守り、どんどん文明が育っていくのを司たちは宇宙からずっと見ています。ほとんど人間と同じ歴史をなぞっていき、たまに深刻な歪み(戦争や科学的に重要なブレイクスルーなど)を見つけると、それを正しい方向に導くために司たちは惑星に降りていくわけです。

最初はスワリスが何も知らない状態でほのぼのと子育てのようなストーリーだったのだが、どんどん賢くなってきて、人種差別や戦争を起こすようになってしまいます。地球の科学史になぞらえた事件なども起こります。ガリレオの話やライト兄弟の話と全く同じようなことをスワリスもやっていく姿は、ほほえましいというか、すごいというか。

パーパソイドは人間と変わらないし、むしろ人間よりも記憶能力や計算能力は高いのに、人間には逆らえないようになっているようです。でも、この小説では「論理を迂回しパーパソイド自身の中で納得のいく、人間に逆らっていない理由」があれば表層的に逆らっているように見えても本当は逆らっていないのです!という感じで逆らってしまう場合もあるようだ。その辺がよくわからないところもあった。

スワリスを人間と同じレベルまで育てて、仲良くなって、よかったねよかったね、で終わりではありません。なんだかとんでもなくでかい話になってきます。元々スケールでかかったけど、さらにでかい話になって、しかもそれなりにきれいにまとまる。

僕は後書きの最後の数行に書いてあった、「今世紀以内とは言わないまでも、人類が滅んだりせずにこの小説のようなことが起こるといいですね(うろ覚え)」という言葉が印象的だった。
ほんと、そう思うよ。SFのような明るい未来がくるといいですね。