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笹倉及介の日記ブログ

それから

それから (新潮文庫)

それから (新潮文庫)

「僕は所謂処世上の経験程愚なものはないと思っている。」

一言で言ってしまうと「ニートの青年が友人の妻を寝取る話」なのだけれど、何となく明治の文豪っぽい感じでそこはもうちゃんと高尚な文学になっているので大丈夫です。おもしろかったです。「読み応えがある」というのはこんな感じの小説のことだろうと思う。
引用したのは、名言だと思ったからです。あと、正確には覚えていないけれど、「食うためにする仕事は下らない」といった意味の言葉もありました。これは働きたくない一心で主人公が言った言い訳みたいなものなので、まあ冗談みたいなものかもしれませんが、それなりに心理を突いている一言であると感じました。