ものが壊れるわけ
- 作者: マーク・E・エバハート,松浦俊輔
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2000/11/16
- メディア: 単行本
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なんだか哲学っぽいタイトルであると思えなくもないけれど、科学の本だ。
物体が壊れるメカニズムを、材料の性質、主に壊れ方の性質から科学していく。壊れるというのは、つまり原子と原子の結合が切れるということだ。最初はただの結晶の話だったのが、最終的には熱力学や量子力学の視点で壊れるということを考えていっている。
ものが壊れるというのは、不可逆な現象で、決して元には戻せない。何でもいつかは壊れる。この本は、なぜ壊れるかを深追いしていく本だ。
僕が大学で学んでいたこととかぶっているので非常に楽しんで読めた。でも科学にちょっと興味がある人がこれを読んで、面白いと思うかはわからない。なにしろ、図が一つもないので、粒子や結晶の状態を想像するのが難しいかもしれない。じつはそういう、粒子や結晶の状態を想像するのが僕は大好きで、僕にとって図がないのはむしろ楽しめたのだが、僕には多少の予備知識があったわけで、そういった楽しみ方をする人はあまりいないかも。
この本は、結晶とか、粒子とか、石、金属、セラミックなどが好きだったり、固体化学、固体物理学などに興味があるひとはとっても楽しめるだろうと思う。
僕の好きな化学の分野は、「面心立方格子構造」と言えば高校生以上には伝わるのだろうか。理系でないと無理かもしれない。そう、wikipedia:面心立方構造、wikipedia:体心立方格子構造、wikipedia:六方最密充填構造とか、のはなしが大好きです。高校の必修科目で出てきた話だったと思うので、世の中の高卒以上の日本語が分かる人には、僕の好きな化学の分野が伝わったと思います。結晶学ですね。