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笹倉及介の日記ブログ

Self‐Reference ENGINE

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)


きっかけはid:huyukiitoichiのいつだったかの書評を読んだことだった。徐々に「円城塔」が目に付くようになってきて、たまたまSFマガジンに載ってたのを読んでみたり、twitterで小説を書いているのを読んだりしていくうちにどんどん気になってきて、ついに本屋で目にとまってしまったので、読むことにした。


なんだこれ。面白い。えっ!? なんだこれ。


簡潔に表すとそんな感じの小説だった。短編集のようで、物語は繋がっているようでもあるんだけど、完全に物語を説明する気がない。設定もぶっ飛んでるし、何か物凄いことが起こったようなのだけれど、それについて説明するにはピースが足りない。分からせる気がないのだけれどぶっとんだ設定で笑わせられる。なんというか、黒歴史ノートを煮詰めて純度を高めたものを見せつけられているような気がした。高度に発達した邪気眼中二病はSFと見分けが付かないのではないか。すべての人が持つ中二病的要素を逆手にとって裏返し、抽出して蒸留したような小説だ! なんだかわけが分からないが、後から後から出てくる心躍る設定と単語。アホ設定過ぎて笑える。これはSFの名前を借りた、ただの言葉遊びなのではないか。もしくは、読者側にSFの教養があることが前提の、メタSFだ。なんにせよ、物語はよく分からなかったが、面白かったのは間違いない。ただし理解しようとしたら負け。