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笹倉及介の日記ブログ

針を嫌がる子について

昨日からめまいがしていて、全身がだるいのだった。症状は軽く、まあ病院へ行かなくても数日で治るだろうと思うくらいの程度だったが、仕事の関係もあり、早く治さなければならない。少なくとも、治す努力はしなければならないだろうと思い、病院へ行ったのだった。

そして僕は、病院の待合室で起こったことについて、考えさせられたのだった。

男の子が、点滴を嫌がっているのである。渾身の力で絶叫し、全力で拒否していたのだ。

看護師さん、お母さん「怖くないよー。痛くないよー。だいじょぶだよー。」

男の子「ぎゃあああああ いやあああああああ 痛いからやめて 痛いからやめて 痛いからやめて 痛いから 痛いから 痛いから 痛いから 痛いから 痛いから 痛いから 血が出るからやめて 血が出るからやめて 血が出るからやめて 血が出るからやめて 血が出るからやめて 血が出るからやめていやああああああ、きゃああああああ お母さん お母さんうあくぁwせdrftgyふじこあうぇかfj 誰か取って 誰か取って 誰か取って 誰か取って 誰か取って 誰か取って 誰か取ってうわああああああああああくぁwせdrftぐえrhぁじぇklがえ」

彼の話をまとめると、
針を刺す前

  • 針を刺すのは痛いからやめて欲しい
  • 針を刺すと血が出るからやめて欲しい

針を刺した後

  • 針が刺さっているので、取って欲しい

彼はできる限り自分の主張を訴え、おしまいには、泣き疲れて眠ってしまう。僕は看護師さん、彼、彼の母親の三人やりとりの一部始終を横で聞いていた。

彼の言うことはいちいちもっともであり、少しも間違っていないと思う。泣き叫ぶ感情も理解できる。

看護師さんの「痛くない」という発言に対し、彼は真っ向から反対し、「痛いからやめてくれ」という。議論は平行線であり、結局は力の強い看護師さんの思い通りになる。この解決方法はまったくスマートではない。僕は彼の言うことの方が正しいと思う。針を刺されたら、多かれ少なかれ、痛いに決まっている。それなのに看護師さんは痛くは無いと言う。そんな馬鹿な。尖ったものは刺さると痛い。そんなことは、誰でもすぐに経験としてわかるものだ。痛いから嫌だ。あたりまえだ。献血が趣味のひとも居るけれど、刺す瞬間の痛みを感じないひとは居ないだろう。

看護婦さんにしてみれば、点滴の針を刺す痛みなど、痛くないも同然のレベルなのだろうし、経験から、針を刺し、点滴が終わってからはその痛み以上の素晴らしいメリット(風邪が治る)ということを知っているし、どのような薬を体内に注入するからどのような作用で症状が治るということも知っているだろう。だから何も怖くないし、痛いのなんか我慢できるのだ。「痛くない、大丈夫だよ」と男の子にアドバイスし、安心させようとする気持ちも理解できる。しかし、小さな子には、そんなことはわからないので、ちゃんと説明をすべきなのではないだろうか。

この場合、彼には、

  • これから腕に針を刺し、君の体に薬を入れる。
  • この薬は君の体を治すものである。
  • 腕に針を刺すが、転んで膝が擦りむけたときほどは痛くない。
  • 針を刺すと、少し血が出るが、同様に膝が擦りむけたときほどは出ない。
  • 痛いのを我慢して点滴を終えると、風邪が良くなる。
  • 君なら点滴の針を刺すことを我慢できるはずだ。

ということを、彼に理解できるように話すべきだったと思う。


ということを真剣に考えるくらいに、彼の抵抗はすさまじく、僕は暇だった。そして僕も点滴が嫌だった。僕は大人なので、嫌さを少しも外に漏らさず、颯爽と点滴を打って貰い、このくらいの文章をすぐに書けてしまうくらいには元気になったのだった。点滴すごい。