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笹倉及介の日記ブログ

繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)


繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(下)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(下)

おすすめ!

「銃・病原菌・鉄」asin:4794218788asin:4794218796という名作が文庫化されてようやく読み終わって、超面白かったから似たような本は無いか、人類史超面白いじゃん、civ5(人類史を元ネタにしたシミュレーションゲーム)も超面白いじゃん、という感じで人類史エンタテイメントにはまっていたところに出会った本なのですが、これはとても良かった! 僕は銃・病原菌・鉄よりも面白かったと思う。

  • 人類がここまで繁栄できたのは「交換」ということを発明したからである。交換によって分業が成立し、専門化が進み、社会全体の効率がとても良くなった結果が今であるということらしい。
  • 交換を覚えていない人類は、今でも自給自足をしていて毎日が生きるための仕事に追われている。鍬や鉄の道具など持つこともなく、農業なんてできない。
  • 農業が発展し、化学肥料が発明されたので、少ない土地で大規模な農業ができるようになり、世界の人口をまかなえるだけの食料が、高効率で生産できるようになった。
  • 都市に人口が密集することで、交換による専門性が進みさらなる技術や天才を生み出すことができるようになった。
  • ここ数十年のエコブームは実は高コストであり、実は石油や石炭を使ってものを作った方が、効率が良く、農場にしなければならない土地が少なくなり、自然の状態に戻すことができる。
  • 化石燃料がなければ、それに見合うだけの燃料が自然の別のところから切り出され、世界はもっともっと荒廃していただろう。
  • 今後も人類は交換をし続け、どんどん収穫の効率を高め続け、繁栄を極める。

経済とか行き詰まっていて、日本の未来は暗いし、国際的にも人口爆発、飢餓、環境破壊など、ネガティブな将来しか見えないなか、こういった本があって、未来は明るい!と言ってくれると、たいへん希望が持てるし、読んでいて、真実を知った気分になれるので、とても読み終わった後の気分が良かった。
この本は以前に読んだポスト・ヒューマン誕生asin:4140811676という本の中で著者のレイ・カーツワイルのいうシンギュラリティ wikipedia:技術的特異点が、過去からずっと続いてきたのだ、と人類史を参照して言っているように感じた。人類の歩んできた道とこれから行く道をとても楽観的に書いているノンフィクション。人類史エンタテイメントとしてとても面白い一冊です。