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笹倉及介の日記ブログ

果物を搾って飲み物にする人にはなれないと思う

毎月新聞 (中公文庫)」を読んでいて、佐藤雅彦氏が仕事に収拾がつかなくなり疲れ果て、自分が何をすれば良いのか混乱していた中、喉が渇いたので冷蔵庫の片隅で固くなっていたオレンジを2個搾ってコップに注ぎ、ゴクゴクと飲んだら、気分が良くなっており、物事を片付けるきっかけになったという話があった。

忙しくて混乱していた時にふとしたことがきっかけで落ち着きを取り戻し、残っていた仕事を一つ一つ片付けることが出来た、ということは僕も経験があって、とても共感したのだけれど、僕は自分の人生の中で、どういう状況ならばオレンジを搾って渇きを癒やすような事態になり得るのだろうか?と思ったのだった。

オレンジを搾ってジュースにして飲む人が居ても良いとは思う。しかし、自分がそうなるとは全く思わないのである。

やろうと思えばすぐにでも出来そうだけれど、これほど自分がこれをやらないだろうと思ったことも珍しいので書き留めておく。

生活レベルがいかに高まろうとも、オレンジを搾ることはしない気がする。きっと水道水を飲んだり、お茶を淹れたりするだろう。この人が都会暮らしで、僕が田舎暮らしだからなのだろうか。村上春樹の小説にそういうことをする人物が出て来たような気がする。村上春樹的な憧れというのも無いことも無いけれど。