猫の地球儀
- 作者: 秋山瑞人,椎名優
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- 作者: 秋山瑞人,椎名優
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とても面白かった。静止軌道上の宇宙ステーション「トルク」に閉じ込められ、人間と同じように社会を気づいている猫たち。その中のトルクで一番強い猫「焔」と、地球に行くことを夢見る「幽」の物語。トルクには人間は居らず、天使として猫たちに祭られている存在です。おそらく過去に人間達も居たのでしょうけど、何らかの理由により人間が居なくなり、猫たちの社会になっていったようです。
このトルクの中の社会はとある宗教で統制されており、地球へ行くということを言うのは宗教上の禁忌です。そんななか、ばれないように幽はこっそりと計画を進めます。
「頭の固い宗教vs.時代の先を行きすぎた科学者」という図式はよくあります。でも、これほどわかりやすく両者の視点での物語を語った小説はあまり無いと思います。今の時代、科学者のほうが正しかったというように語られることが多いですが、当時はそんなことはなかったと言うことがよくわかりました。
「焔の章」の後書きにわりと感銘を受けました。でも物語の主題がまんま書かれているような気がして、それを直接書いてしまうのは作者としてどうなんだろうと思いました。そう言うのは作中でこっそりと行間に忍ばせておいて欲しい。
人間に取り残された猫。地球に降り立つことを夢見る猫。というのは、なんだか泣ける感じですね。泣きはしませんでしたが。それよりも、震電の主人を捜してさまよう姿にホロリと来ました。泣きはしていませんが。
夢を持つことと、現実的に生きること、どういうことか。そんなことを考えさせられました。文句なしの名作ですね。ネット上で何度もお勧めされている理由がわかりました。