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笹倉及介の日記ブログ

自分探しと楽しさについて

自分探しと楽しさについて (集英社新書)

自分探しと楽しさについて (集英社新書)


森博嗣のエッセイはほぼすべて読んでいると思うので、僕の感想は、ひとことで言うなら「何を今更」である。こういうことを言うと、全然誰かに勧めることはできない。実はこの本に関しては感想を教えてくれ、という要請があったので、書くのだけれど、感想は、総括して、相変わらず森博嗣だな、と思うというくらいだ。僕の感想を期待していた人には申し訳ないことをした。

この本に書かれているのは、自分とは、他者とはなんなのか、楽しさとはどういうことなのか、森博嗣はどう思っているのか、そういったことが書かれている。

僕が森博嗣を好きな理由として、「なんだかよくわからないけれど、そういうものだからしょうがない」というような、よくわからない社会のルール的なものをばっさり切って、論理的に辛口な皮肉を言い、僕自身が嫌なことに対して、気持ちの良い答えを書いてくれるからだと思う。僕は森博嗣と似ているとは思わないけれど、少なくとも嫌いなものごとは同じだろうと思う。

この中で印象的だったのは、「楽しさは他者からは与えられない」だ。パッケージ化され、「どうです、楽しいでしょう?」とお金を払って楽しむような娯楽は、つまりは作られた道を歩かされているようなものであり、本当の楽しさは、自信で道を作ることにあると書かれている。

自分を省みて、確かに「道を作ること」は楽しいし、満足感が得られるが、日常的に楽しいからやっていることのいくつかは、やはり道が与えられているものだった。