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笹倉及介の日記ブログ

天冥の標

天冥の標?: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標?: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

ここ最近、更新頻度が落ちているのがおもしろくない。なんだか、僕のブログは現実の知り合いにも読まれるようになってしまったので、変にプレッシャーを感じて、書くことの閾値が上がっている。毎日にでも更新していたころに何を書いていたのか忘れてしまった。僕はもっと、どうでも良いことを書きたいのだ。でも何を書いて良いのかわからない。そういうときは、原点に戻って、本の感想を書けば良いのだろうという結論に至った。

天冥の標である。この小説は、小川一水が気合いを入れて書いているだろう大河小説で、全十巻で完結するらしい。今4巻まで出ているのだが、全く先が読めずに、いったいどうなるのか、はらはらどきどきの毎日である。この小説があるから、この小説が終わるまで、生きていよう、そう思えるようなシリーズだ。

まず、一つの架空の宇宙を作り、その一部分を切り取る、という形で小説の一巻が書かれる。一巻ごとに時代がばらばらなのだけれど、同じ宇宙に暮らす人類のことについて描かれる。その中に出てくる、不老不死のアンドロイドや人工知能などは、再登場したり、歴史に名を残したりもして、いろいろなところに登場する。

一巻を読んだときには、丸ごと全て複線ではないのか、と思って読んでいたのだが、4巻にして、全く消化される様子無く、どんどん謎が深まっていくような気がしてる。いったいどうなってしまうのか想像も付かないのだけれど、一冊一冊がとてもおもしろくて、安心して読めるシリーズだと思う。だらだらと引き延ばされること無くきちんと完結してくれるだろう。

4巻の「機械じかけの子息たち」だが、これは僕にとっては初体験の小説だった。このようなところに焦点を当ててSFにするのか! と驚いた。テーマは「性愛」。娼婦達が住む、歓楽街的な場所で、最高の性交であるとされるものを探す、というものだ。その娼婦達は、人間では無く、元は人間が作った娼婦アンドロイドだ。そんな視点でSFしたことは、あまりなかったものだから、新しい目が出来たような気がする。以前まで、「ロボットと人間の恋愛」にしか興味が無かったのだが…。恋愛の先にあるものは当然セックスなわけで、当然科学が行き着く先はそうなるのだろう。僕も読書を通じて成長できたのかもしれない。
このシリーズが終わるころには、僕はどうなっているのだろうか。このシリーズと一緒に成長していきたいものだ。一緒に歩んでいきたいシリーズだと思う。