ブラッド・スクーパ
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/04/24
- メディア: 単行本
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世間知らずの侍の旅の話、第二段だ。今回は少しミステリのような要素も加わって、よりおもしろい。
侍とか、禅とかというものを森博嗣が切り取るとこんなにスタイリッシュになるものなのだなぁ。森博嗣と親和性高いというか、すごくうまいと思う。
主人公の腕前を一瞬で見抜く人が結構多い。佇まいで実力が分かるのだろうか。僕はきっと弱っちいと思うし、なにやら怪しげかもしれない。日常生活には佇まいで強そうな人はいないが、落ち着いている人はいる。僕はどちらかというと落ち着いている人にあこがれる。
何度か主人公は敵と刀を交えるのだけれども、主人公の刀は、決して相手の刀と接触しない。「キーン」と鳴らないのである。そのおかげか、すごく静かな戦闘シーンで、なんだか気持ちがよい。音のしない、静かな戦いは読んでいて落ち着く。
装丁が良い。 今回の表紙は竹ですね。竹林は大好きで、上を見上げたときのきらきらした感じや、耳に聞こえるさわさわとした音が気持ちいい。竹林の真ん中に一軒家で住みたいと思っているのだが、きっと床をタケノコが貫通するだろうと思って断念している。
最後に、僕の一番良かったシーンを書き抜く。
「悲しみというのは、人真似で育つのでしょうな」