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笹倉及介の日記ブログ

野宿入門

文庫 野宿入門 (草思社文庫)

文庫 野宿入門 (草思社文庫)


本書は野宿を趣味とする人の面白いエッセイのような野宿入門の話です。
session22というラジオ番組で著者のかとうちあきさんが喋っていたのを聞いて、興味を持ったので買って読んでみました。ラジオから、かわいい女性の声で野宿の良さについて語られるのは、なんだかとても新鮮で面白かったですね。ラジオの記憶に残ったエピソードとしては、野宿をしていると職質されることがあるらしく、そのときは身分証をもっていると話がスムーズに済むそうです。怪しいものでは無いよ、ということをアピールのだそう。そうして、「どうしてこんなところで野宿しているの?」「ちょっと終電を逃しちゃって…」と言い訳をするのだそうです。終電を逃したにしては、寝袋を持って野宿の準備が万端なんですが。最後に「野宿って、味わい深いんですよねぇ…」としみじみ仰っていたのが印象的でした。ああ、おもしろそうだ、野宿。

本書は語りかけてくる文体で野宿の良さについて書かれているのだけれど、野宿してみなよ!と思い切り押してくるわけでも無く、なんだかたまに我に返るというか、自信がなくなるというか、常識的に考えると野宿ってそんなによいものでもないかも…みたいに後ろを振り返ってしまう感じが面白い。それでも野宿はとても面白そうだ。

実践的な野宿本ということで色々なノウハウが書かれている本でもある。寝袋の下に敷くマットが重要であるとか、場所選びのこつ、寒さのしのぎ方など。野宿の味わい深い良さについても語られている。なにより僕が気に入ったのは、タイトルにもあるけれど、「ちょっと自由になる生き方」ができるようになるということだ。野宿ができるということは、別荘があるようなもの! そして、野宿をしながらどこにでも行ける。

僕は野宿をしたことが無いけれど、野宿して起きた朝などは、どんな感想を持つのだろうか興味がある。人間的に、一回り大きくなれるような気がするような、そうでもないような。ちょっと野宿がしてみたくなった。いつでも野宿が出来るような人間になれば、家が無くてもしばらく生きていけるんじゃないか。

ひとまず、できるところから小さく始めるということで、実家から寝袋を持ってきて、フローリングの床に寝るところから始めてみようかな。