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笹倉及介の日記ブログ

「リリアとトレイズ 6」を読んだよ


 リリアとトレイズの冒険活劇。萌えありミステリ要素ありと内容の濃いストーリーを毎回描く作者は生粋のライトノベル作家なのだなぁ。列車ごと狙われるお姫様の危機をどうにかこうにか切り抜けたら、また危機が。それに振り回されるアリソン親子とトレイズ。トラヴァス少佐、お仕事ご苦労様です。
 アリソンシリーズからの伝統であるミステリ的要素については、今回は満足。犯人にしてやられたという感じがする。用意周到に準備をして、犯人の手のひらの中で人が動くのは見ていて面白い。なにせあのトラヴァス少佐がまんまと罠に嵌っていた。
 リリアとトレイズの冒険はひとまずこれで落ち着いたということに。トレイズのヘタレさや、彼がどんなに素晴らしい人間かがよくわかる一冊。親の存在が大きすぎてアリソンのような面白さは薄れているけれど、作者はそれをわかっていて、別のところで面白くしてくれているようで良い。この小説のタイトルは「トレイズ」にしても良かったと思う。リリアは終始振り回されていただけだったのでもう少し活躍させて欲しかった。でもそうするとそれこそアリソンと同じになってしまうのでしょうがないか。
 問題は、続編があるかどうか。5巻までで複線をばら撒いておいて期待をさせたけれど、6巻で急いで回収したという印象を持ったので、こんなもんでは僕は許しません。続編を希望します。まだトラヴァス少佐とリリアの再会が残っているじゃないですか。それをあんなちょっとほのめかした程度で終わってしまうなど認めません。



以下ネタバレ

 囚人四十二番。こういうキャラが出てくるたびに僕はいつも思うけれど、殺すことに少しの迷いも後悔も無い人間は案外好きだったりする。実際に居たら嫌だろうけど、虚構の物語の中では好きになれるのだ。そして大抵悲惨な死に方をするわけだけど、死ぬ最後の瞬間まで人を殺したことに対して何の疑問も無い。素晴らしいね。殺人という趣味は理解できないけれど、僕もこんな生き方をしたい。彼は性質といいイラストといい、ちょっと吉良吉影っぽいな、と思った。