本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源
- 作者: マーク・S.ブランバーグ,Mark S. Blumberg,塩原通緒
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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冒頭にこう書かれている。
動物のやることなすことに関して、それを本能のせいでやっていると言うほど簡単なことはない。
僕はそう思っていた。それを、もう一歩、二歩三歩踏み込んで、本当に本能かどうかを検証した例が書かれている。その行動は生まれもっていた本能なのか?それとも環境に影響されて学習したのか?と。生まれ持っていたものなどあまり無くて、経験して学習して発達することがとても重要だというのがこの本の主張である、と思う。この本は実際に本能だと決め付けられていることを実験例と共に批判している。
遺伝子とか、DNAがよくわからないからって、そこにわからないことをまとめて引き受けさせて一安心していた僕にはかなり勉強になった、というか開眼した。
最後に、琴線に触れた一文。
権威ある雑誌で大きな波紋を起こし、メディアの大げさな扱いを受ける。だが、カメラのスイッチが切られてから、もっと慎重な研究者がその大騒ぎの中にあった問題点を訂正しなければならなくなる。そのころには謝った情報が人々の間に広がり、既に教科書に採用されてしまっているというわけだ。