ぼくらのよあけ
- 作者: 今井哲也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: コミック
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- 作者: 今井哲也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: コミック
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傑作。大傑作。おもしろい。超面白い。
id:huyukiitoichiがオススメしていたので釣られて購入。id:huyukiitoichiにはいつもお世話になっています。ちょうど面白い漫画ないかなーと思っていたところだった。
一般的な言い方をすると、あらすじは小学生の主人公が、宇宙から来た知性体と出会う。その知性体は帰ろうとしているが、帰れない。主人公達は協力して知性体を帰してやろうと頑張る。それだけのストーリーではあるのだけれど、完成度がすごく高い。2冊でしっかり物語が語られて綺麗に終わる。SF映画のようだった。
こんなに完成度の高い漫画は滅多にないのだろうと思う。あらすじを一言で言ってしまうとありふれたものになってしまうが、2冊の漫画のなかにこれほど色々なモノが詰まっているのもすごい。
2038年
この漫画の設定は2038年で、過去の回想として2010年の様子が描かれるのだけれど、そのおかげで、物語がただの未来ではなく、今にも実現しそうな、現実と地続きの未来であると分かることができる。オートボットや未来の携帯電話なども、日常に根付いており生活感がある。未来だけれど、現実の延長だと言うことが強調される。2038年のデジタルガジェットやさまざまな技術革新は1話1話の間に補足説明され、設定がしっかりしていることがわかる。ただただ幸せになった未来を描くのでは無く、その技術が普及したことによる弊害や社会問題などもちゃんと取り上げられているのが良い。「2038年のSNSによるいじめ」が描かれ、それは今で言う「twitter疲れ」だったり、「学校裏サイト問題」だったりの延長線上の出来事として描かれている。
階段、集合住宅の屋上、夏休み、宇宙人
夏に子供達が非日常な何かと出会い、事件に巻き込まれ、夏休み中に解決する、というSFは結構あると思うのだけれど、この漫画もそうなのだが、僕の読んだ中では一番良いものなのでは無いかと思う。扇風機、集合住宅、プール、自由研究…。そういう夏もあったなぁ、と懐かしい気持ちでもあった。主人公は毎日、階段を下りる歩数を少なくすることを友人達と競っているのだが、以前僕も似たようなことをやっていた。集合住宅の屋上に登って、秘密基地作りのような遊びもしたことがあった。
大人と子供
この漫画では、「よい大人」が描かれている。主人公達は「大人に見つかったらお終いだ。ぜったい秘密にしなければ」という行動をするのだが、見つかってしまう。しかし、大人たちにみつかることで、物語は先に進んでいく。"大人"はただの邪魔ものではなく、物語を駆動するためのしかけとして存在していた。こういったところもうまいと思う。僕だって昔は「大人は何も分かっていない」と思っていたが、大人になってみると、実はいろいろ分かっていたし、できることも増えた。過去が懐かしいとは思うけれど、戻りたいとは思わない。右肩上がりの成長をしていると思うからだ。