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笹倉及介の日記ブログ

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人


 唐突に<女性の作家が繊細な心理描写を書く、少女漫画的な純粋な少女の、きれいで悲しい話>が読みたいと思った。なんて限定的な欲求だろう。でも読みたい、嗚呼よみたい。そう思ってからしばらく時が過ぎ、そしてついに、この本に出会う。まさに、まさにそれという小説であった。
 僕はなんて美しく、純粋な世界だろうと思った。この人、桜庭一樹の書く小説はとても世界がきれいでかなしくておかしい。すごくいい世界に浸れる小説だよ、この小説は。主人公七竈は最初出てこなかったけれど、出てきた瞬間に惚れたね。七竈いわく、「男など、ほろびてしまえ」いやぁ、いいなぁ。美人だけど変人、言葉遣いがとても異質。おかしくてきれい。この小説は、現実が舞台になっているようで、実はファンタジーなのだなと感じさせられる。そのファンタジーを受け入れられるかどうかがこの作品を受け入れられるかどうかじゃないかな。